時間外手当と残業手当の違いとは?計算方法や請求方法を解説

時間外手当と残業手当の違いとは?計算方法や請求方法を解説

正規の就業時間を超えて働いた場合、時間外手当・残業手当を受け取れます。しかし、両者の違いについて、正確に理解している人は、多くありません。両者を混同している人も多く、計算方法や請求方法について理解している人は、全体では少数派です。

そこで当記事では、時間外手当と残業手当の違いから、時間外手当の計算方法を解説します。時間外手当の計算方法や、請求に必要な書類について興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

1.時間外手当と残業手当の違い

時間外手当と残業手当は、一見すると同じ事柄を指しているように見えます。しかし、実際はそれぞれ異なる意味を含んだ言葉です。両者の違いを簡単に説明すると、時間外手当は労働基準法に基づく法律用語であり、残業手当は一般に会社などで使用されている名称となります。

時間外手当 労働基準法で定められた労働時間を超えて行われた残業に対する手当
残業手当 会社が就業規則で定めた労働時間を超えた分の残業に対する手当

労働基準法第32条では、「1日に8時間以上労働させてはならない」と定められています。そのため、8時間の法定労働時間を超えて業務を行った場合には、法定時間外労働に対応する手当として割増賃金(時間外手当)の支給が必要です。

一方、残業手当は会社が就業規則などによって支給する手当となります。名称は会社により異なり、「残業手当」や「超過勤務手当」などと呼ぶケースがあります。会社が定めた所定労働時間が法定労働時間と同じ8時間である場合、時間外手当と残業手当の支給対象となる時間は同じ8時間を超過した時間です。したがって、時間外手当と残業手当が意味するものは、ほぼ同じことを指すこととなります。

注意点は、会社の定めた所定労働時間が法定労働時間より短い場合です。仮に会社が7時間を所定労働時間と定め、9時間の労働を行った場合には、同じ残業時間でも扱いが異なります。法定労働時間(8時間)内の残業は、「法定内残業」です。会社は労働契約書あるいは就業規則によって残業代を支払います。法定労働時間外の残業は「法定外残業」となり、法律に定められた割増賃金の支払いが必要です。

会社は、法定労働時間より長い時間を労働時間として定めることはできません。時間外手当が支給されない状態は労働基準法違反であり、労働者は使用者へ時間外手当を請求する権利があります。

2.時間外手当(残業手当)の計算方法

時間外手当(残業手当)の計算方法は、1時間あたりの賃金に割増率(1.25倍以上)をかけ、その値に時間外労働を行った時間を積算することで算出します。なお、時間外労働時間とは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間、時間外労働の限度時間(月45時間、年360時間)を超えた時間です。

時間外手当(残業手当)=1時間あたりの賃金×1.25×時間外労働時間

時間外労働が月60時間を超えた場合、割増率は1.5倍以上となります。ただし、中小企業については2023年4月1日まで猶予されているため、覚えておきましょう。

2-1.1時間あたりの賃金を求める方法

「1時間あたりの賃金」は、月給を1ヵ月における平均所定労働時間で割ることにより、算出することが可能です。

1時間あたりの賃金=(1)月給÷(2)1ヵ月における平均所定労働時間

ただし、上記の「(1)月給(割増賃金の基礎賃金)」は、給与明細などに記載されている給与額とイコールではありません。月の給与総額から下記の手当が除外されます。

月給から除外される手当
  • (1)家族手当
  • (2)通勤手当
  • (3)別居手当
  • (4)子女教育手当
  • (5)住宅手当
  • (6)臨時に支払われた賃金
  • (7)1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

なお、上記の手当は例示ではなく、限定列挙されています。そのため、上記に該当する以外の賃金は、すべて割増賃金の基礎として算入しなければなりません。

また、「(2)1ヵ月における平均所定労働時間」は、下記の計算式で算出できます。

(365日ー年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月

うるう年の場合は、365日のところを「366日」で計算してください。

2-2.休日手当・深夜手当の考慮

時間外手当を計算する際には、休日手当や深夜手当を考慮する必要があります。これは、時間外手当と休日手当・深夜手当に適用される割増賃金率が異なるためです。

休日手当(週1日の法定休日に勤務した場合の手当)の割増率は、1.35倍以上となっています。また、深夜手当(22時以降5時までに勤務した場合の手当)の割増率は、1.5倍以上です。深夜手当の割増率は、時間外労働として加算される1.25倍に加えて、深夜労働として1.25倍、合計して1.5倍以上という計算となります。

このように、休日や深夜に労働した場合には、通常の時間外手当より大きい割増率となるため確認が必要です。

3.時間外手当(残業手当)を請求するために必要な書類

もし、時間外手当(残業手当)が未払いとなっている場合、該当する賃金を請求することが可能です。未払いの時間外手当を請求する際には、事前に証拠書類を揃える必要があります。下記で紹介する項目は、残業時間や支払賃金を把握するために揃えておきたい書類です。

●タイムカードなど実際の労働時間が分かるもの

タイムカードは、実際の出勤日数や労働時間を示す証拠となります。所属する会社がタイムカードを利用している場合は、その内容をコピーしておきましょう。スマホやパソコンによりシステムで勤怠管理している会社では、勤怠一覧や勤怠状況などをプリントアウトしておくことをおすすめします。

●給与明細など支給額が分かるもの

給与明細は、時間外手当としてどれほどの金額が支払われたかを証明する書類です。過去の給与明細を整理し、大切に保管しておきましょう。紛失した際には、担当部署に依頼することで再発行できる場合があります。

●雇用契約書や就業規則など

雇用契約書は、会社が定める所定労働時間・基本給などが記載されているため、時間外手当を算出する根拠となります。同様に、就業規則にも労働時間や賃金額の定めが記載されており、未払い請求を行う際に必要となるものです。

4.未払い時間外手当(残業手当)の請求方法

未払いの時間外手当を請求する方法には、まず会社に直接請求する方法があります。ただし、会社との交渉を自分で行う必要があり、簡単なことではありません。

公的な窓口としては、労働基準監督署があげられます。労働基準監督署にタイムカードや給与明細など証拠資料を提出し、労働基準監督官より会社へ指導・勧告してもらう方法です。

また、弁護士に相談して請求する方法もあります。特に、未払い時間外手当の請求に強い弁護士事務所であれば、会社との交渉や証拠書類の収集に対応してくれるため、おすすめの方法です。

千代田中央法律事務所では、豊富な未払い時間外手当請求の実績を基に、さまざまなケースに対応しています。労働訴訟や労働法制に精通しており、労働者に寄り添った対応が可能です。「勤務先の会社が時間外手当を支払ってくれない」あるいは「未払い請求の行い方が分からない」などでお悩みの人は、ぜひ千代田中央法律事務所までご相談ください。

まとめ

時間外手当とは、労働基準法で定められた法定労働時間を超過した際に生じる割増賃金のことです。一方で、残業手当や超過勤務手当は、会社が独自に定める労働時間を超えて支払われる割増賃金のことを指します。つまり、両者の違いは、「法律上の制度であるか」「会社の制度であるか」にあります。

法定労働時間を超えた時間外労働には、会社は従業員へ割増賃金を支払うことが必要です。未払いの割増賃金は会社へ請求することができるため、タイムカードなど証拠書類を準備しましょう。時間外手当の未払いに悩んでいる人は、労働問題で多数の実績を持つ千代田中央法律事務所までご相談ください。

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