残業60時間が平均より多い?違法となるケースから改善方法まで紹介

残業60時間が平均より多い?違法となるケースから改善方法まで紹介

企業で働いていると、日々の業務に追われて残業が発生してしまうこともあるでしょう。しかし、長時間の残業が続いている場合、実は企業の労働体制自体が違法で、残業代も正しい金額が支払われていないケースがあります。

当記事では、残業60時間は適正であるのか、また残業60時間が違法となるケースについて解説します。また、残業60時間である場合の残業代の計算方法や、長時間の残業による影響を改善する方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

1.残業60時間は平均と比べて多い?

結論から言うと残業60時間は平均よりも多く、1日2時間~2.5時間の残業で月60時間に達します。

厚生労働省が公表しているデータによると、1年間の残業時間の平均は311.34時間です。1か月単位に換算すると約26時間となります。

出典:厚生労働省「第6回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会 配布資料」

厚生労働省が公表する統計データは、会社の自己申告に基づいて算出されているため、これまでは実際よりも残業時間が少ないとされてきました。

しかし、就職や転職向けのサービスが実際に働く社員の口コミから独自に調査した結果では、残業時間の平均が約24時間という結果となっていました。

出典:働きがい研究所 OpenWork「約6万8000件の社員クチコミから分析した‘残業時間’に関するレポート」

残業60時間は、各統計データの平均の約2.5倍も残業していることとなり、平均と比べてはるかに多いといえます。

2.残業60時間が違法となるケースを紹介!

法律によって定められた基準の「法定労働時間」を超えて働いた時間は、残業とみなされます。
例外的な措置として、法定労働時間を超えた残業が可能となるケースがありますが、原則として法律では残業は認められていません。

ここでは、残業60時間が違法となるケースを3つ紹介します。

2-1.1日8時間・一週間40時間を超えている

労働基準法の第三十二条では、法定労働時間は1日8時間・一週間40時間以内と定められています。

出典:電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」

例えば、就業時間が朝9時~午後17時(内1時間は休憩)と設定されている場合、所定労働時間は7時間です。そのため、18時まで仕事をしても、17時~18時までの1時間は法定時間内残業となります。
18時を超えると法定労働時間を超過するため、労働基準法違反となる可能性があります。

法定労働時間を超えて業務を行う場合、会社と労働者の間で協定を結び、所轄労働基準監督署長へ届け出をすれば残業が可能です。しかし、協定や届け出を行っていない場合は、残業自体が違法となります。

ただし、管理監督者は労働基準法で労働時間や、休日等の規制の適用対象外とされています。

2-2.36協定で定めた時間を超えている

36協定(サブロク協定)とは、労働基準法で定められた1日及び一週間の労働時間を超えて働く場合に、会社と労働者との間で締結する、時間外労働の上限などに関する取り決めのことです。

労働基準法改正により残業時間の上限が設けられており、原則として月45時間・年360時間を超える残業はできません。また、法改正により、強制力のない大臣告示による基準から法律による罰則付きの原則へと格上げされています。

例外措置の場合、特別条項を定めることで月80時間・年720時間以内の残業が可能となりますが、月45時間を超える残業は年間6か月までと法律で決められています。

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

臨時的な特別の事情があったとしても、法律による上限を超えることは違反です。残業60時間が毎月続いている場合は、違法の可能性が高いでしょう。

2-3.残業代が正しい金額ではない

残業60時間にもなると残業代も相当な額となりますが、給与明細に残業手当がなく、給料が変わらない場合は違法の可能性が考えられます。残業代の一部しか支払われず、正しい金額ではないケースも同様です。

労働契約や就業規則で残業が禁止されている企業では、サービス残業や残業の事実がなかったことにされ、残業代を正しく支払ってもらえないケースがあります。
しかし、労働基準法の第三十二の二条では、時間外労働に対して残業代を支払うことが義務付けられています。残業代が正しい金額でない場合は、違法の可能性が高いといえるでしょう。

出典:電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」

3.残業60時間である場合の残業代の計算方法

残業60時間分の残業代が正しく支払われているかを知るためにも、残業代の計算方法を把握しておく必要があります。
残業代の計算式は、下記の通りです。

残業代=1時間あたりの賃金×割増率×残業時間

所定労働時間を超えたときに支払われる賃金は、割増賃金となります。そのため、通常時の基礎賃金に割増賃金率をかけて残業代を計算します。

法改正による法定割増賃金率引き上げで、時間外労働が60時間未満の場合の割増賃金率は25%以上と定められました。残業時間が60時間を超えると、50%以上となることも覚えておきましょう。

出典:厚生労働省「改正労働基準法」

月給制の場合は、まず基準賃金となる1時間あたりの賃金を算出します。
1時間あたりの賃金は下記の計算式で求められます。家族手当や通勤手当などは含まれないため注意しましょう。

1時間あたりの賃金=月給÷1年間における1か月平均の所定労働時間

基本給25万円(手当なし)、1か月平均の所定労働時間165時間とした場合を例に、残業60時間はいくらになるのかを計算すると、下記のようになります。

  • 1時間あたりの賃金
    25万円÷165時間=1,515円(1円未満は切り捨て)
  • 残業代
    1時間あたりの賃金:1,515円×割増率:1.25×残業時間:60時間=11万3,625円

基本給25万円(手当なし)で、1か月平均の所定労働時間が165時間の方の残業代の給与を計算すると、11万3,625円となります。
上記の計算式に当てはめるだけで残業代を算出できるため、残業時間に見合った残業代をもらえているのかを知りたい方は、給与や所定労働時間を元に計算をしてみましょう。

ただし、会社によっては変形労働時間制を導入していたり、賃金や手当の中に一定の残業代が含まれる「固定残業代制度」というみなし残業を採用していたりすることがあります。
変形労働時間制の場合は年間や月間の就業時間数、みなし残業の場合はみなし残業の時間を確認すれば残業代の計算が可能なため、就業時間やみなし残業の有無も併せて確認しましょう。

4.長時間の残業による影響を改善する方法

最後は、長時間の残業による影響を改善する方法について解説します。

残業60時間に限らず、長時間に及ぶ過剰な残業は身体的にも精神的にも悪影響を与えます。資本である身体を守り、残業代に対する不満やトラブルを軽減するためにも、残業時間を減らすことから始めましょう。

4-1.担当している仕事が多い場合はこなす数を調整する

残業時間が長時間になる理由として、仕事の効率と仕事量の多さが挙げられます。仕事の生産性や効率を高めれば、法定労働時間内に仕事を終えられる可能性が高まります。

具体的な方法として、下記のような仕事のやり方や工夫の仕方があります。

  • 仕事に優先順位をつける
  • 文書のひな型やマニュアルを作成して業務整理する
  • 作業一つひとつを時間で区切り、時間を意識する
  • ツールを活用する
  • 仕事量を減らしてもらう

仕事内容を見直し、自分のキャパシティを超える仕事量の場合は、一人で抱え込まず同僚などに協力してもらって仕事量を減らすこともひとつの方法です。

4-2.自分で解決できない場合は労働基準監督署に相談する

「仕事を効率化しても仕事をこなすほど増やされる」「仕事の分担を公平にしてもらえない」など、経営者や企業の体質に長時間残業の原因がある場合は、労働基準監督署への相談を検討しましょう。
労働基準監督署は企業を監督する厚生労働省の出先機関で、適切な勤怠管理や労務管理を行わない企業、労働に関する法令を守らない企業などを取り締まっています。

本来、企業と労働者の立場は対等であるべきですが、雇用する側である企業のほうが立場が強くなりやすく、労働者が泣き寝入りするケースは少なくありません。
相談したすべてのケースを調査してもらえるわけではありませんが、労働基準監督署が違法と判断すれば、企業への指導や立ち入り調査を行ってくれます。

残業や残業代の未払いに関する証拠が多いほど、相談にも応じてもらいやすいため、タイムカードや勤務時間や業務内容の記録といった証拠を可能な限りを集めるようにしましょう。

4-3.未払い残業代がある場合は弁護士に相談する

実際に未払い残業代を企業へ請求しても、支払いに応じてもらえない場合は裁判となることがあります。裁判は手続きが複雑で専門的な知識も要するため、一般の方が自分ですべてを対応することは難しいでしょう。

未払い残業代を確実に回収したい場合は、弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に相談するメリットには、下記が挙げられます。

  • 証拠集めに協力してくれる
  • 自分の代わりに交渉や手続きなどの対応をしてくれる
  • さまざまな場面で窓口となってくれるため、精神的な負担の軽減が期待できる
  • 裁判に勝てる可能性が高くなる

法律関連に詳しい弁護士に相談することで、未払い残業代を回収できる確率を大幅に上げることが可能です。

まとめ

事業や業務内容によっては、残業が発生することも珍しくありません。しかし残業60時間は平均よりも多く、仮に月60時間も残業した場合、残業代も相当な金額となります。

長時間の残業が常態化しているのであれば、まずは会社との契約内容や残業代が違法なケースに該当しないかを確認した上で、仕事量は妥当なのかを把握することが大切です。

できる限りの対処法で仕事の生産性や効率化をしても残業が続く場合や、残業代が少ないなどの違法性が疑われる場合は、労働基準監督署や弁護士に相談し、長時間の残業を改善しましょう。

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