労働基準法とは?最低限押さえたいポイントを丁寧に解説

労働基準法とは?最低限押さえたいポイントを丁寧に解説

会社が労働者に働いてもらう場合、労働者を雇用する会社には守る義務のある法律が存在します。労働における基本の法律こそが「労働基準法」です。

労働基準法には労働契約・賃金・労働時間などさまざまな条項があり、労使関係において弱い立場となりやすい労働者の権利を守っています。労働基準法を守ることは労務トラブルの防止につながるため、経営者・雇用者側はもちろん、労働者側も内容を知っておきましょう。

今回は労働基準法とは何かを説明したのち、法律内で定められている主な内容、労働基準法違反となるケースについて解説します。

1.労働基準法とは?

労働基準法とは、日本における労働条件の最低限となる基準を定めた法律です。労働基準法に書かれている条文の多くは、使用者である会社側に対して、労働者の権利・利益を不当に奪えないことを示しています。

労働者は会社に対して弱い立場となりやすく、制限がない状態では不利な労働条件で働かされる可能性があります。正社員・パート・アルバイトといった雇用形態にかかわらず、すべての労働者を保護し、労働関係の安定化を図ることが労働基準法の目的です。

労働基準法は罰則のある法律であり、違反すると懲役刑または罰金刑の刑事罰を科せられる場合があります。

2.労働基準法が定める主な内容

労働基準法は労働に関する基本となる法律であり、会社の事業主はもちろん、労働者も自分の権利を守るために主要な内容について把握しておくことが大切です。
ここからは、労働基準法が定めるさまざまな条文の中でも、最低限知っておかなければならない6つの内容を紹介します。

2-1.【労働契約】条件の明示・解雇の予告

労働契約に関して着目すべき内容は、「条件の明示」と「解雇の予告」の2つです。

●条件の明示

会社が労働者と労働契約を締結する際は、各種の労働条件について明示しなければなりません。とくに以下の労働条件に関する内容は書面による交付が必須です。

  • 労働契約の契約期間
  • 労働時間(業務の始業・終業時刻、休憩時間、休日・休暇など)
  • 賃金(金額や賃金計算方法・支払方法など)
  • 退職(解雇の事由を含む)

●解雇の予告

会社が労働者を解雇する場合は、労働者に対して予告することが定められています。予告は日限が決められており、予告しなかった場合は手当を支払わなければなりません。

  • 労働者に対して解雇することを、解雇日の少なくとも30日前に予告する
  • 解雇日の30日前までに予告をしていない場合は、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う

2-2.【賃金】賃金支払いの4原則・最低賃金

労働基準法では、賃金支払いの4原則と最低賃金についても定めています。

●賃金支払いの4原則

賃金の支払いは、正しい方法で行う必要があります。以下の項目は「賃金支払いの4原則」と呼ばれ、労働者の生活基盤となる給与を保護する内容です。

  • 通貨払の原則(通貨で)
  • 直接払の原則(直接労働者に)
  • 全額払の原則(その全額を)
  • 毎月1回以上・一定期日払の原則(毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う)

●最低賃金

会社が労働者に対して支払う賃金は、最低賃金法で定められている時給額を最低賃金額として、最低賃金額以上でなければなりません。

2-3.【労働時間】労働時間・休憩・休日

労働時間のほか、休憩や休日に関しても、労働基準法に規定があります。

●労働時間

会社が定める労働者の労働時間は、1週間・1日のくくりで、上限の時間が定められています。

  • 休憩時間を除き、1週間に40時間を超えて労働者を働かせてはならない
  • 休憩時間を除き、1週間の各日について1日に8時間を超えて労働者を働かせてはならない

●休憩

労働者の労働時間が一定時間を超える場合、会社は労働者に少なくとも以下の休憩時間を与えなければなりません。

労働時間 与える休憩時間
6時間を超える45分以上
8時間を超える60分以上

会社が与えた休憩時間は、労働者に自由に利用させなければならないことも明記されています。

●休日

会社は労働者に対して、原則として毎週に1日の休日を与えなければなりません。もしくは4週間で4日以上の休日を与えなければならないことが定められています。

2-4.【時間外労働】休日労働・割増賃金

時間外労働・休日労働の仕方や、賃金に関する規定も把握する必要があります。

●時間外労働・休日労働

会社は労働者との間に36協定と呼ばれる労使協定を締結し、行政官庁(労働基準監督署)へ届け出ることで、協定範囲で労働時間の延長や休日労働させることが可能です。36協定の締結・行政官庁への届け出なしに、時間外および休日労働をさせることは禁止されています。また、時間外労働は限度時間が定められており、原則として1ヶ月に45時間、1年に360時間が上限です。

●割増賃金

会社が労働者に1日8時間・週40時間を超える時間外労働や、休日労働および深夜労働をさせた場合は、対象となる労働時間分の賃金を割増賃金で支払わなければなりません。割増賃金における割増率は労働の種類ごとに異なり、以下の通りに定められています。

労働の種類 割増率
時間外労働25%以上
時間外労働が限度時間を超えた場合25%以上
(25%を超える率となるよう努める)
時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合(60時間を超えた部分に対して)
50%以上
休日労働35%以上
深夜労働25%以上

2-5.【有給】年次有給休暇

会社は以下の2つの条件を満たした労働者に対して、継続または分割した10労働日分の年次有給休暇を与えなければなりません。

  • 雇入れ日を起算日として、6ヶ月以上継続勤務した
  • 全労働日の8割以上を出勤した

勤続年数が増えると有給休暇の付与日数も増加し、最大で年20労働日分の有給休暇が付与されます。

所定労働日数が少ないパート・アルバイトなどの労働者に対しても、年次有給休暇は与えなければなりません。以下の2つの条件を満たす労働者は、所定労働日数に応じた年次有給休暇の付与が定められています。

  • 週の所定労働時間が30時間未満である
  • 週の所定労働日数が4日以下、もしくは年間の所定労働日数が48日~216日である

2-6.【就業規則】作成義務・制裁規定の制限

労働者を雇用する会社は、労働基準法が定める就業規則に関する内容も理解しておきましょう。

●作成義務

会社が常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出なければなりません。作成する就業規則については、始業・終業時刻や賃金、退職などが記載必須の事項として定められています。

●制裁規定の制限

就業規則で労働者に対する減給制裁を規定する場合は、減給額について以下の制限を受けます。

  • 1回の減給額は、平均賃金1日分の半額を超えてはならない
  • 減給額の総額は、一賃金支払期における賃金の総額の1/10を超えてはならない

3.労働基準法違反となる代表的なケース

最後に、労働基準法違反となる代表的な2つのケースを紹介します。悪質な違反は刑事罰の対象になりうるため、会社の事業主や管理監督者である人は該当するケースに注意しましょう。

●残業代を支払っていない場合

工場を経営するA社は、時間外労働で作業を行った従業員に対して残業代を支払わなかった。また、是正勧告後も違反行為を続け、労働基準監督官には割増賃金を支払ったと虚偽の報告をした。

残業代を支払っていない場合は、まず労働基準監督官が当該事業場に立入調査を実施し、違反の事実を認定すると是正勧告が行われます。会社は割増賃金を含めた残業代を労働者へ支払い、再発防止に努めましょう。

しかし、上記のケースでは是正勧告後も残業代未払いが続き、支払いの虚偽報告も行っていました。是正指導に従わない場合は悪質な違反行為と見なされ、本社の家宅捜索や書類送検となる可能性があります。

●36協定の上限を超える残業をさせた場合

アパレルメーカーであるB社は、従業員に対して36協定の上限を超える残業をさせていた。残業代を支払っていたものの、36協定の上限を超える残業は常態化していた。

36協定の上限を超える残業は、残業代を支払っていても労働基準法違反として罰則の対象です。B社のケースでは36協定の上限を超える残業が常態化していたため、書類送検後に略式起訴され、50万円の罰金額が科される恐れがあります。

上記のケース以外にも、労働基準法違反となるケースはいくつも存在します。労働基準法に関する法律トラブルは、労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

労働基準法とは、労働条件の最低基準を定め、労働者の権利を保護している法律です。違反時には刑事罰を科せられる可能性があるため、会社の事業主は内容を把握しておきましょう。今回は、労働基準法が定める条文の中でも、とくに知っておきたい内容として、労働契約・賃金・労働時間・時間外労働・有給・就業規則について紹介しました。

労働基準法違反は、残業代未払いや36協定の上限を超える残業など、会社が行ってしまいかねない行為によって発生します。労務トラブルは未然に防ぐ姿勢を取り、労働基準法違反となる行為が発生した場合は労働問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

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