裁量労働制でも残業代は発生する!計算方法から請求手順まで

裁量労働制でも残業代は発生する!計算方法から請求手順まで

裁量労働制は、労働時間の長さではなく仕事の成果が評価される仕組みです。
しかし、特定の条件を満たす場合は、裁量労働制であっても残業代が発生します。
残業代が適切に支払われていない場合は、証拠を集めて会社側と交渉することで、未払い分の給料を回収することが可能です。

今回は、裁量労働制の概要や、裁量労働制で残業代が発生するケースと計算方法を解説しています。
さらに、残業代の請求手順やおすすめの相談先についても説明しているため、「残業代が適切に支払われていない」と感じている方は、ぜひご覧ください。

1.そもそも裁量労働制とは?

裁量労働制とは、従業員と使用者の間で契約される労働形態の1つです。
出勤と退勤の時刻が決まっている一般的な労働形態と異なり、裁量労働制では労働時間に関する制約がありません。

裁量労働制では、実際の労働時間ではなく、労使協定で決められた一定の労働時間数に基づいて賃金が算出されます。

ただし、裁量労働制が適用できるケースは、専門業務型と企画業務型のいずれかに属する職種のみです。
専門業務型裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分が雇用者の裁量に任される場合に適用されます。

専門業務型に属する職種は、以下の19種類です。

  • 1:新商品・新技術・人文科学・自然科学に関する研究開発
  • 2:情報処理システムの分析・設計
  • 3:新聞・出版事業・放送番組制作における取材や編集
  • 4:衣服・インテリア・工業製品・広告などのデザイン
  • 5:放送番組や映画、イベントなどのプロデュース・ディレクション
  • 6:コピーライティング
  • 7:システムコンサルティング
  • 8:インテリアコーディネート
  • 9:ゲーム開発
  • 10:証券アナリスト
  • 11:金融工学等を用いた金融商品開発
  • 12:大学における教授研究
  • 13:公認会計士
  • 14:弁護士
  • 15:建築士
  • 16:不動産鑑定士
  • 17:弁理士
  • 18:税理士
  • 19:中小企業診断士

さらに、専門業務型裁量労働制を導入する際は、対象業務の特定や、仕事の進め方を具体的に指示しないこと、みなしの労働時間などを労使協定で定める必要があります。

企画業務型に属する仕事は、事業に関する企画や立案、調査や分析などです。
企画業務型裁量労働制を導入する際は、社内に労使委員会を設置し、みなしの労働時間や苦情処理などの条件を決めた上で、労使委員の5分の4以上による決議が必要となります。

1-1.裁量労働制の問題点

裁量労働制の問題点には、「長時間労働につながりやすい」と「休日出勤が多くなりやすい」の2点が挙げられます。

〇長時間労働につながりやすいこと

裁量労働制では、労働時間が労働者本人の裁量で決められるため、長時間労働になる場合があります。
特に、企画や研究開発、デザインなどのクリエイティブな業務では、労働時間が長くなりやすい傾向です。

〇休日出勤が多くなりやすいこと

裁裁量労働制の職種では成果が重視されることや、仕事量が多くなりやすいことが特徴です。このことが原因で、裁量労働制では休日出勤が多くなりやすいことも問題となっています。

2.裁量労働制で残業代が発生するケースと計算方法

裁量労働制で働く場合、時間外労働に対する残業代は基本的に発生しません。
しかし、例外的に残業代が発生する場合があります。
裁量労働制で残業代が発生するケースは以下の3つです。

  • 深夜まで残業をした場合
  • みなしの労働時間が8時間以上の場合
  • 休日出勤をした場合

ここからは、3つのケースに関する詳細と、残業代の計算方法を解説します。

2-1.深夜まで残業をした場合

裁量労働制で残業代が発生する1つ目のケースは、深夜まで残業をした場合です。

22時から5時の時間帯に業務を行った場合は、深夜割増分の賃金が発生します。
深夜労働に対して定められている賃金割増率は25%です。

つまり、深夜に残業した場合の深夜割増分は以下の計算式で算出できます。

基礎時給×0.25×深夜時間帯の残業時間 = 深夜割増分

たとえば、基礎時給が1,500円の人が24時まで残業をしたと仮定します。
深夜の時間帯に含まれる業務時間数は22時から24時までの2時間であるため、深夜割増分の計算式は以下の通りとなります。

1,500円×0.25×2時間 = 750円

このように、裁量労働制で働く場合でも、深夜に残業した時間に応じた割増賃金を受け取ることが可能です。

2-2.みなしの労働時間が8時間以上の場合

裁量労働制で残業代が発生する1つ目のケースは、みなし残業分の労働時間が8時間以上の場合です。

1日の法定労働時間は8時間と定められています。
みなし時間が1日8時間を超えて設定されている場合、裁量労働制であっても残業代の受け取りが可能です。

基礎時給×8時間以上の労働時間 = 残業代

たとえば、基礎時給が1,500円で、1日のみなし労働時間が9時間と定められていると仮定しましょう。
この場合、1日のみなし労働時間が法定労働時間を1時間上回っているため、残業代の計算式は次の通りです。

1,500円×1時間 = 1,500円

みなし労働時間が8時間以上に設定されている場合は、残業代が正しく支払われているかどうかを確認しましょう。

2-3.休日出勤をした場合

裁量労働制で残業代が発生する3つ目のケースは、休日出勤をした場合です。

労働基準法では、毎週少なくとも1回を法定休日とするように定められています。
法定休日は裁量労働制が適用されないため、法定休日に働いた場合は残業代の受け取りが可能です。

法定休日に働いた場合、労働時間がそのまま残業時間となります。
また、法定休日の労働に対する賃金割増率は35%です。

基礎時給×1.35×休日出勤の労働時間 = 残業代

たとえば、基礎時給が1,500円の人が法定休日に4時間働いたと仮定しましょう。
この場合、残業代の計算式は以下の通りです。

1,500円×1.35×4時間 = 8,100円

休日出勤をした場合は、労働時間に応じた残業代が支払われているかどうか確認しましょう。

3.残業代の請求手順は?

裁量労働制で発生する残業代を請求する際は、確実に受け取るためにも、以下3つの手順を踏みましょう。

STEP1:証拠を揃える

まずは、残業代を請求するために必要な証拠を集めましょう。
残業代を請求する際には、残業していたことを示す証拠や、残業代が分かる証拠、給与が十分に支払われていなかったことが分かる証拠などが必要です。

残業していたことを示す証拠として、出退勤の時刻が記録されたタイムカードや、勤務時間表、出勤簿のコピーが使えます。
また、帰宅時に使用したタクシーの領収書や、勤怠管理システムの履歴、残業時の業務内容が書かれたメモやメールの履歴なども、証拠として利用可能です。

残業代が分かる証拠として、勤務している会社の就業規則や雇用契約書、労使協定、労使委員会の議決書などが必要となります。
給与が十分に支払われていなかったことを証明する際は、給与明細を証拠として使うことが一般的です。このほか、会社の登記簿謄本が必要となる場合があります。

STEP2:会社と交渉する

証拠をもとに残業代を算出したあとは、会社と交渉しましょう。
まずは上司や、労務関連の担当部署と話し合いをしてください。
会社側が支払いに応じてくれない場合は内容証明郵便を利用して、残業をしたことや残業代が未払いであることを公的な書面として通知します。

STEP3:和解が難しい場合は訴訟する

交渉をしても残業代が支払われず和解が難しい場合は、民事訴訟を起こす方法があります。
判決が下ったあとも残業代が未払いの場合は、使用者側の財産を差し押さえることで未払い分の回収が可能です。

4.残業代請求の相談は千代田中央法律事務所まで

残業代が発生するにも関わらず未払いとなっている場合は、法律事務所に相談することをおすすめします。
特に、訴訟による請求方法は難易度が高いため、法律のプロフェッショナルに依頼した方が確実です。

法律事務所に相談すれば、未払い賃金の回収に必要な証拠資料が適切に準備できます。
また、支払い対象となる残業代を正確に算定することが可能です。

千代田中央法律事務所には、残業代請求に特化した弁護士が在籍しています。
残業代の請求に関する相談をしたい方は、ぜひ千代田中央法律事務所に問い合わせてみてください。

まとめ

裁量労働制は一般的な雇用形態と異なり、出勤時間が労働者の裁量に任されています。
しかし、裁量労働制が適用される職種で働く場合であっても、深夜残業や休日出勤、8時間以上に設定されたみなしの労働時間に対しては、残業代の請求が可能です。

未払いの残業代がある場合は、必要な証拠を集めた上で会社と交渉しましょう。
自力による解決が難しい場合は、法律事務所への相談がおすすめです。

ここまでの内容を参考に、残業代の未払いで困っている方・知識のある弁護士に相談したい方は、ぜひ千代田中央法律事務所に相談してみてはいかがでしょうか。

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