フレックスタイム制で残業代が発生する場合とは

フレックスタイム制で残業代が発生する場合とは

フレックスタイム制を導入した場合,フレックスタイム期間における法定労働時間の枠を超えた時間が時間外労働となり割増賃金支払い義務の対象となります。 フレックスタイム制を採用することで,労働者の判断で,業務量に応じて弾力的に労働時間を調整することができ業務を効率的に行うことができるようになるものの,無制限に認めてしまうと長時間労働の温床になりかねないため,労基法は適用要件を定めることで一定の制限をしています。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは,1カ月以内の一定の期間につき,1週間当たりの平均所定労働時間が法定労働時間を超えない範囲で総所定労働時間を定め,労働者が,その範囲内で各日の始業時間,終業時間を自由に決定できる制度をいいます。

これは,一定の範囲内で労働者が労働時間を自由に決定できるとすることで,生活と業務の調和を図りながら効率的に働くことを目指した制度と言われています。

もっとも,偏った長時間労働の誘発を防止するため,労基法は,以下の適用要件を定めています。

適用要件について

労働基準法は,フレックスタイム制の適用要件として,以下を規定しています。

  • 就業規則等により,その労働者にかかる始業および終業の時刻を,その労働者の決定にゆだねる旨定めること。
  • 労使協定等において,以下の事項を定めること。
    1. フレックスタイム制により労働させることができる労働者の範囲
    2. フレックスタイム制を適用する1カ月以内の期間およびその起算日
    3. フレックスタイム制を適用する期間における総労働時間
    4. 標準となる1日の労働時間
    5. コアタイムを定める場合には,その開始時刻・終了時刻
    6. フレキシブルタイムに制限を設ける場合には,その開始時刻・終了時刻

(※)コアタイムとは,フレックスタイム制が適用される場合でも必ず労働しなければならない時間帯をいいます。

(※)フレキシブルタイムとは,労働者がその選択により労働することができる時間帯のことをいいます。

労働時間の繰り越しの可否

実際に労働した時間が,フレックスタイム期間における所定総労働時間よりも多かった場合,超過分を,次の期間の総労働時間の一部とみなすことはできるでしょうか。

一方で,実際に労働した時間が,フレックスタイム期間における所定総労働時間よりも少なかった場合,不足分を,次の期間の総労働時間に加算して労働させることはできるでしょうか。

これらに関しては,行政解釈は以下のとおりとなっており,この解釈は妥当なものと考えられます。

  1. 実際の労働時間に過剰があった場合に,超過分を次のフレックスタイム期間中の総労働時間の一部に充当する(次のフレックスタイム期間中に労働したとする)ことは,フレックスタイム期間内における労働の対価の一部がその期間の支払日に支払われないことになり(次のフレックスタイム期間の支払日に支払われることになり),賃金支払い義務を定めた労基法24条に違反する。
  2. 実際の労働時間に不足があった場合に,不足分を,次のフレックスタイム期間中の総労働時間に加算して労働させることは,法定労働時間の総枠の範囲内である限り,次のフレックスタイム期間で賃金の過払い分を精算するものであり,賃金不払いの問題は生じないため賃金支払い義務を定めた労基法24条に違反しない。

なお,法定労働時間を超えた時間については,時間外労働として割増賃金の支払い義務が生じているため,当該超過時間を繰り越して,次のフレックスタイム期間中に労働したとみなすことは許されていません。

フレックスタイム制の適用除外

満18歳未満の者については,原則として,変形労働時間制を適用することはできません。

もっとも,満15歳から18歳未満の者については,満18歳に達するまでの間,1週間について48時間,1日について8時間を超えない範囲内において,1カ月単位または1年単位の変形労働時間を適用することが許されています。

まとめ

以上のように,フレックスタイム制は,業務量に応じた労働時間の配分を,労働者の判断に任せることで,業務の効率化を図ることができるというメリットがあるものの,労基法上の,労働時間規制がなくなるわけではなく,労働時間が法定労働時間の総枠を超過する場合には,時間外労働に対する割増賃金を支払う義務があります

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